松下裕恵「はりきり絵」展 ~旅で見つめた世界~  レポート

ギャラリージクウ22 松下裕恵

先日、ギャラリージクウ22で開催されました、 松下裕恵「はりきり絵」展 ~旅で見つめた世界~。
そのレポートと松下さんへのインタビューをお届けします。

ギャラリージクウ22 松下裕恵

ギャラリージクウ22 松下裕恵

ギャラリージクウ22 松下裕恵
Q. 今回の「旅」について感じた事や、製作時のエピソードがあれば聞かせてもらえますか?
A. 私の場合、とにかくそこに行って、おもしろいなとか、いいなと思ったものを写真に撮ったり、スケッチしたりして、帰ってきた時に思い出しながら製作しています。
どの風景もエピソードは自分の中にあります。
例えば、『なにゆえに』はアドリア海沿岸です。ここは『紅の豚』の舞台になった所なんです。そこにドブロブニクという地域があってそこが世界遺産になっているんです。
その世界遺産を見て、ある町に行く途中の道すがらの景色を描いたんです。
最初ドブロブニクを描こうかと思ったんですが、みなさん描いているのでこっちの方が面白いと思った。
岸のギリギリまで建物が建っているんですね。そしてよく見ると、車があるんです。これはこの島の中だけのためにあるのかなとか思ったり、またよく見ると教会が一番上にあって、最初に教会ができて、その次に町ができていったのかなとか、色々と想像していました。
クロアチアというのは旧ユーゴスラビアで紛争地域でした。それが終わって、危機遺産に認定されていました。砲撃で町が崩れたところとか、そういう残骸の中で、ああいう風景があって、オレンジの瓦と青の海とのコントラストを見て、ここが平和になってくれたらいいなと思って見てました。

『なにゆえに』
ギャラリージクウ22 松下裕恵
ギャラリージクウ22 松下裕恵

Q. 松下さんにとって世の中で一番大切な事は何ですか?
A. 戦争を起こさない事。
そうすれば、文化が残るし、それに、生きて行けますから。
戦争によって、死ななくて良かった人達の未来が奪われてる。戦争がなければその人達の未来は奪われない訳ですから。
戦争を起こさない事が一番大切な事。
そうすれば、自分達が努力すれば生きていけますから。
その国の戦争の状況を見たら、戦争はやはり、ない方がいいと思います。
私は戦争を知らない世代ですけど。

ギャラリージクウ22 松下裕恵

Q. 今、一番気になっていることは 何ですか?
A. 極端に言えば、次は何を描こうかという事です。
今の季節、外に出て、色々な植物を描きたいんですね。
12月に個展があるので、何を描こうか今、集中してるところですね。

Q. 今までに影響を受けた作家やアーティストを教えてください。
A. 色々な作家から影響を受けてるんですけど。
安永元典という作家。
もともと、私の高校の先生です。
その人から、絵の基本を教わったんですね。モノの味方や、絵に対する姿勢とか。
作品の影響としては、伊藤若冲は好きでしたね。
どれ見ても、すごいなと思いますね。

ギャラリージクウ22 松下裕恵

ギャラリージクウ22 松下裕恵

Q. 趣味は?
A. 多趣味なんです。
遊行好きです。
活字中毒なんで、常に読んでないと落ち着かないですね。私の場合、本というのは、マンガも画集も含めてですね。
読む物がなければ、活字も読んでますから。

Q. これからどういう作品をつくっていきたいと思われますか?
A. 切り絵と言うと工芸的な所があるんですよね。
もう少し、工芸よりは質が上で、単なる日本画ではなしに、自分の気持ちを訴えられるような作品ができたらいいなと思っています。

ギャラリージクウ22 松下裕恵

Q. 最後にジクウ22をどう思われますか?
A. 下がサロンになっていて、上がギャラりースペースになっているところがいいです。
色々な意味でのたまり場というんですか、これからそういう空間に育ってくれたらいいなと思いますね。
普通のギャラリーだと、今飾っている作品の話をしないと申し訳ないという気があるんですよね。
でもここは、下で他の作家の作品や音楽についてとか、色々な話ができると思うんですよね。
そこがここのいい所。そういうのをみんなに知ってもらって、みんな利用してもらったらいいなと思います。

 

松下さん、どうもありがとうございました。

2009年11月02日

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